縄文時代を起源に日本最古の織物として伝えられている「藤布」

縄文時代を起源に日本最古の織物として伝えられている「藤布」 木綿の普及により途絶えたとされていたその古代布は、時代の変 化に翻弄されながらも丹後の山里で静かに織り継がれていた。 幾多の工程を手間暇をかけて藤の蔓から一本の糸が生まれる。
材料や道具のひとつまで、昔ながらの手法にこだわり、糸をつく り、織り上げる。それは技術だけではない、先人たちの英知や精 神(こころ)を紡ぐこと。藤布には織物の原点となる自然と共生す る精神が息づいている。

『古事記』に神話が記され、『万葉集』に詠われる藤布

古来よ り人々の衣服や生活用品に使われていたことがうかがえる。 春につける花の美しさからは想像できないような、強い生命 力を持つ藤。

藤布を纏うことは、その旺盛な生命力にあやかるためとも語り継がれてきた。

先人の智慧、自然への畏敬の念か ら生まれ、しなやかな美しさと力強さを放つ藤布。その一本の 藤糸から、古代の息吹きや悠久のロマンをも感じられる。